犬と猫のライソゾーム病という病気を聞いたことがありますか?この病気は遺伝病のひとつで、生まれつきの疾患です。一般の飼い主様にとっては比較的珍しい病気のひとつかもしれませんが、ご家庭で繁殖を考える場合には注意が必要です。
今回は、犬と猫のライソゾーム病の原因や症状などを詳しくお伝えします。
原因
ライソゾームは細胞小器官のひとつで、内部にたくさんの酵素を持ち、この酵素によって不必要になった老廃物を分解する役割を持ちます。
ライソゾーム病とは、ライソゾーム内の酵素の働きが弱かったり、まったく働かなかったりする病気のことです。そのため、ライソゾーム病になると正常に分解されるべき物質が細胞内に蓄積し、体の色々な臓器に影響を及ぼします。
ライソゾーム病の原因は遺伝子の異常です。父親と母親の両方がこの病気を持っている場合のみ、子犬や子猫もライソゾーム病を持って生まれます。しかし、父親もしくは母親の片方のみがこの病気を持っていても、子犬や子猫が発症することはありません。
症状
ライソゾーム病は、肝臓や腎臓などあらゆる臓器に障害が出ますが、特に脳の障害が顕著に現れることが多いです。
症状はうまく歩けない、眼球が揺れる、音に敏感になる、震える、性格が変わるなどがみられ、悪化のスピードも早いのが特徴です。
さらに進行すると、視覚障害や麻痺、意識障害など重篤な症状が現れ、やがて命を落とす可能性があります。
また、症状は子犬や子猫の時に出はじめることが一般的です。
診断方法
遺伝子検査で異常がみられるとライソゾーム病の確定診断ができますが、遺伝子変異が特定されないケースもあります。そのため、症状や発症年齢などから総合的に診断します。
特にこの病気は発症年齢が若いことが特徴であるため、生後2カ月〜1歳くらいの間に進行性の神経症状が出た場合はライソゾーム病を疑うことがあります。
治療方法
残念ながら、ライソゾーム病の治療法は今のところありません。
症状に応じた対症療法を行いますが、犬や猫は比較的若齢で亡くなってしまうことがほとんどです。
予防法やご家庭での注意点
この病気は遺伝病のため、ご家庭にお迎えしてからの予防法はありません。
信頼できるペットショップなどからお迎えすれば心配はないでしょう。また、飼い主様自身が繁殖計画を立てる時には、このような病気があることを頭に入れておきましょう。
まとめ
ご家庭での繁殖を検討している飼い主様は、こうした遺伝病が存在するということを知っておく必要があります。繁殖計画の際には、動物病院にも相談してライソゾーム病だけでなく、色々な遺伝病について知識を持つことが重要です。
もし、万が一発症してしまった場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
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