軟口蓋過長は、口の奥の柔らかい部分である軟口蓋が正常よりも長い状態を指します。この状態が進行すると、軟口蓋が喉を塞ぐように垂れ下がり、呼吸や食事に支障をきたすことがあります。特に短頭種(短い鼻や顔を持つ犬種)に多く見られ、放置するとさらなる合併症を引き起こす可能性もあります。

今回は、犬の軟口蓋過長について、原因や症状、治療方法などを詳しくお伝えします。

原因


軟口蓋過長は、主に遺伝的な要因によって引き起こされます。短頭種の犬(フレンチブルドッグ、ボクサー、パグ、ブルドッグ、シーズーなど)は、頭部の形状が独特であり、これが軟口蓋過長の原因となります。

症状


軟口蓋が長すぎると気道を部分的にふさぎ、呼吸がしづらくなってしまうため、散歩に行きたがらない、すぐに疲れてしまう、苦しそうにする、といった様子がみられます。また、「ガーガー」といった特徴的な音が聞こえます

いびきも軟口蓋過長の典型的な症状で、寝ている間に軟口蓋が喉に垂れ下がることによって、「ズーズー」といった音が聞こえます。

呼吸がうまくできない状態が続くと、失神やチアノーゼ、合併症(気管虚脱、喉頭麻痺、呼吸器感染症など)につながります

診断方法


口の中を確認し、軟口蓋の長さや状態を確認します。次に、内視鏡で詳しく調べますが、軟口蓋は奥にあるため、鎮静や麻酔が必要になる場合があります。

また、レントゲンやCTスキャンも用いて、気道や肺の状態を詳しく調べます。特にCTスキャンは、軟口蓋の細かい構造を確認するのに役立ちます。また、血液検査で全身の健康状態を確認し、他の病気がないかを調べます。

治療方法


根治を目指すのであれば手術が必要です。手術では、伸びすぎた軟口蓋を切除し、気道を広げることで呼吸を改善します。

また、軟口蓋過長の他に外鼻孔狭窄などの問題が見られる場合、同時に処置を行うことがあります。

予防法やご家庭での注意点


遺伝的な要因が強いため、完全に予防することは難しいですが、適切な体重管理は、呼吸器への負担を減らすためにとても重要です。バランスの取れた食事と適度な運動を行い、肥満にならないようにしましょう。

また、定期的な健康診断を受けることで、軟口蓋過長の早期発見と早期治療が可能になります。特に、短頭種の犬は呼吸器系の問題を抱えやすいため、定期的な診察を欠かさないようにしましょう。

まとめ


軟口蓋過長は遺伝的なものであり、いびきのような呼吸音が特徴です。一見、苦しそうに見えなくても、「ズーズー」「ガーガー」という呼吸音は正常ではありません。子犬から症状が現れることもあるので、気になる様子があれば早めに獣医師に相談しましょう。

口腔内疾患については以下のページでも解説しています
◼️犬の歯周病について│高い治療効果を得るためには麻酔下でのスケーリングや抜歯が重要

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