犬と猫のスケーリング(歯石除去)は、歯の表面に付着した歯石やプラークを除去する処置のことです。スケーリングが必要な理由は、歯石が蓄積すると、歯周病やその他の口腔疾患のリスクが高まるためです。歯周病は痛みを伴い、最終的には歯の喪失や全身的な健康問題を引き起こす恐れがあります。したがって、スケーリングを定期的に行うことで、犬や猫の口腔内の健康を維持し、長く健康な生活を送ることができます。

今回は、犬と猫のスケーリングの重要性や実際の処置方法について解説します。

スケーリングはなぜ重要なのか


犬と猫の歯の健康は、全身の健康に直結しています。適切な歯のケアが行われない場合、歯石の蓄積によって歯周病が発生し、さまざまな健康問題を引き起こします。

歯周病は、歯と歯茎の間にプラークや歯石がたまることによって引き起こされる炎症性の疾患です。初期段階では歯肉炎と呼ばれ、歯茎が赤く腫れ、出血しやすくなります。この段階で適切な治療が行われないと、歯周炎に進行し、歯を支える骨が破壊され、最終的には歯の喪失につながります

歯周病についてはこちらのページで詳しく解説しています

歯石が引き起こす問題


歯石は、プラークが硬化してできたもので、歯の表面に堆積します。これが原因で、以下のような問題が発生します。

口臭
歯石がたまると口臭が強くなります。これは、細菌が繁殖して有害なガスを発生させるからです。

歯茎の炎症
歯石は歯茎を刺激し、炎症を引き起こします。これが進行すると、歯茎が後退し、歯の根元が露出して痛みや感染の原因となります。

全身的な健康問題
歯周病は口腔内の問題だけでなく、細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓病腎臓病などの深刻な健康問題を引き起こすことがあります。

スケーリングの流れ


スケーリングの手順は以下の通りです。

術前検査
まず、犬や猫の口腔内を詳しく検査し、歯石の状態や歯周病の有無を確認します。また、スケーリングは、犬や猫にとってストレスや痛みを伴う可能性があるため、全身麻酔が必要です。麻酔をかけることで、犬や猫が動かず、獣医師が安全かつ効果的に処置を行うことができます。麻酔の前には、血液検査などの健康チェックを行い、麻酔のリスクを最小限に抑えます。

麻酔の投与
安全に処置を行うために、全身麻酔を施します。

歯石の除去
超音波スケーラーを使用して、歯の表面に付着した歯石を除去します。超音波スケーラーは振動を使って歯石を効果的に取り除きます。

歯周ポケットの清掃
歯と歯茎の間にできる歯周ポケットの内部を丁寧に清掃します。これにより、歯周病の進行を防ぎます。

研磨
歯の表面を研磨し、滑らかにします。これにより、プラークが再び付着しにくくなります

術後の観察
スケーリングが終了した後は、麻酔から覚めるまでの間、犬や猫を注意深く観察します。術後の合併症がないかを確認し、必要に応じて痛み止めや抗生物質を投与します。

スケーリング後のケア


スケーリング後は以下のケアを行うことで、歯石の再発を防ぎ、歯周病を予防することができます。

歯磨き
できるだけ毎日、専用の歯ブラシと歯磨き粉を使って歯を磨いてあげましょう。最初は嫌がるかもしれませんが、徐々に慣らしていくことが大切です。

デンタルガムやデンタルトイを使う
噛むことで歯の汚れを落とす効果があるデンタルガムやデンタルトイを与えることも効果的です。選ぶ際は、愛犬愛猫のサイズや年齢に適したものを選び、過剰に与えないように注意しましょう。

定期的な歯科検診
日常的なケアに加えて、定期的な歯科検診を受けることも重要です。一般的には、年に一度の歯科検診をおすすめしますが、犬や猫の年齢や健康状態によっては、より頻繁に検診が必要な場合もあります。

まとめ


愛犬や愛猫の健康を守るためには、口腔内のケアが非常に重要です。歯の健康を保つことで、痛みや不快感を防ぎ、全身の健康も維持できます。日々の歯磨きや定期的な歯科検診を習慣にし、愛犬や愛猫の口腔内を清潔に保ちましょう。

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