犬や猫の健康や安全を考える中で、避妊手術という選択をする飼い主様も多いのではないでしょうか。犬や猫の避妊手術とは、卵巣や子宮を摘出する手術のことを指します。様々なメリットがある一方で、実は注意しなければならない点もいくつか存在します。

本記事では、犬や猫の避妊手術について解説し、メリットや注意点についてもお伝えします。

避妊手術について


避妊手術は、全身麻酔をして卵巣と子宮、あるいは卵巣のみを摘出する手術のことです。

避妊手術の適切な時期は、犬や猫の種類、大きさ、健康状態によって異なりますが、小型の犬の場合、多くは6ヶ月齢前後で初めての発情を迎えることから発情の前の5ヶ月齢あたりで避妊手術を考えるのが一般的です。一方、中型犬は多くの場合6〜9ヶ月齢での手術が推奨されます

猫の場合、初めての発情を5~6ヶ月齢で迎えることから4~5ヶ月齢での避妊手術が推奨されることが一般的です。(時期に関しては様々な意見があります)

避妊手術は成犬、成猫になってからでもできますが、高齢になるほど麻酔や手術の負担が大きくなるため、手術をするなら早めが良いでしょう。

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避妊手術のメリット


・望まない妊娠を防ぐ
避妊手術の最大のメリットは、望まない繁殖を防げることです。オスと多頭飼いをしている場合や、屋外で去勢手術をしていないオスと交尾をして妊娠してしまうことを防ぐことができます。

・様々な病気のリスクが減る
避妊手術を行うことにより、卵巣や子宮の生殖器関連疾患や乳腺腫瘍などの病気を予防する効果もあります
犬において、メスで最も多いと報告されている乳腺腫瘍の発生率は、初回発情前に避妊手術を行うことにより0.5%(未避妊のメスと比べると約1/200)まで抑えられ、初回発情後では8%、2回以上の発情後では26%まで抑えられるといわれています。

一方、猫では乳腺腫瘍の8割が悪性と報告されており、その発生率は初回発情前に避妊手術を行った場合は9%、初回発情後では14%、2回以上の発情後では89%まで抑えられるのです。

・発情期の問題行動が減る
犬の場合は避妊手術により、生理(ヒート)や偽妊娠、それらからくるストレスなどをなくすことができます
また猫では、避妊手術を行うことにより、発情中特有の行動や鳴き声が抑えられることや、偽妊娠、偽妊娠によるストレスをなくすことが期待できます

避妊手術の注意点


避妊手術は全身麻酔が必要になるため、麻酔や手術による体への負担が多少なりともあることを理解しておきましょう

また、避妊手術により本来生殖器で消費するはずだったエネルギー量が減り、避妊後は太りやすくなります。避妊手術前と同じ量のフードを食べていると太ってしまうため、フードの量や種類を変更するなど、体重管理をしてあげるようにしましょう。

災害時の同行避難におけるマナーとしての避妊手術


災害時にペットを連れて避難することを「同行避難」と言います。過去の災害において、避難所など同行避難先でペットに関してのトラブルがあったと報告があります。
被災時に他のペットやその飼い主とのトラブルにならないよう、マナーとして避妊手術を施しておくことをおすすめします

例えば、避難所など同行避難先に去勢手術をしていないオスがいた場合、避妊手術を施していないと、交尾をして妊娠してしまうというトラブルに繋がってしまいます。
また、発情中にオスに追いかけ回されたり、オス同士がメスをめぐって喧嘩になり怪我をしてしまうことも考えられます。
また、生理(ヒート)や発情中の鳴き声などが避難所ではトラブルの原因となる場合もあるため、マナーとしての避妊手術をおすすめします。

まとめ


避妊手術には望まない妊娠を防ぐだけでなく、愛犬や愛猫の病気予防や行動改善といったメリットもあるため、手術をされる方も多くいます。
ただし、デメリットもあることから、避妊手術をしようか迷われている場合には、まずかかりつけ動物病院に相談し、愛犬や愛猫にとって飼い主様が良いと思う選択をしましょう。

避妊手術についてはこちらのページでも解説しています

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