腹腔内腫瘍は、犬や猫の腹部の臓器や組織で発生する腫瘍を指します。手術を勧められたものの、本当に必要なのか、完治できるのかなど心配な方も多いでしょう。

本記事では、犬や猫の腹腔内腫瘍について解説し、治療方法や手術についてもお伝えします。

腹腔内腫瘍の原因


お腹の中にある肝臓、胃、腸管、脾臓、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、精巣などの臓器に腫瘍ができると「腹腔内腫瘍」と呼ばれます。腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものはいわゆる「がん」のことです。

腹腔内腫瘍の発生原因は、完全には解明されていません。
しかし、特定の品種に発生頻度が高いと報告されている腫瘍もあり、遺伝的背景が関与している可能性も考えられています

また、ホルモンの影響も無視できません。一部の腫瘍はホルモンの影響を受けやすく、去勢や避妊手術を受けていない犬や猫は、ホルモンに関連する腫瘍のリスクが高まるケースも知られています。

腹腔内腫瘍の症状とは?


腹腔内腫瘍の症状は、腫瘍が良性か悪性か、どこにできたかなどによって様々です。

悪性でも初期の段階では無症状のことが多く、健康診断などで発覚する場合もあります。進行すると食欲不振、元気消失、体重減少、嘔吐、腹水や胸水の貯留など様々な症状が出はじめます。
良性の腫瘍の場合は、体調に変化がない場合もありますが、場所やサイズによっては悪性の腫瘍と同様の症状が出ることもあります。

診断方法と治療方法


腫瘍の診断は、身体検査や血液検査、X検査、超音波検査やCT撮影などの画像診断を総合して行います。

治療方法は一般的に手術が選択されます。手術で完治を目指すのか、症状の緩和を行うのかなどは腫瘍の種類や位置、大きさ、悪性度によって異なりますが、一般的に良性の腫瘍は手術によって完治が可能です。

悪性腫瘍でも、転移がない場合などケースによっては完治を目指せます
例えば「肝臓がん」は悪性ですが、腫瘍の部分をしっかりと切除することで完治させられることもあります。脾臓や生殖器(子宮、卵巣、精巣など)などの腫瘍は、多くの場合、臓器そのものを手術で取り除くことで再発の防止も行います。手術と聞くと、麻酔の心配もあるかと思いますが、手術前に検査をすることで麻酔リスクも最小限に抑えることが可能です。

予防法と飼い主様が気を付けるべき点


腹腔内腫瘍自体の予防は難しいですが、適切なフードや適度な運動、ストレスのない生活が望ましいでしょう。
また、一部の腫瘍はホルモンの影響を受けやすいことから、若い時期の避妊・去勢手術が効果的です。

腹腔内腫瘍は腫瘍ができるだけ小さい段階で発見し、手術を行うことで完治も可能です。初期段階では無症状のことが多いため、定期的な健康診断を受けて早期発見につなげると良いでしょう

まとめ


腹腔内腫瘍だと診断されても悪性の「がん」だとは限りません。定期的な健康診断は腹腔内腫瘍だけでなく、様々な病気の早期発見につながるため、欠かさずに受けると良いでしょう。

腫瘍については以下のページでも解説しています

犬の脾臓腫瘍について
犬や猫の乳腺腫瘍について
犬の悪性黒色腫について

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