脾臓腫瘍は犬に比較的よくみられる腫瘍の一つです。そのうち約50%が悪性腫瘍で、さらにそのうちの50%は血管肉腫だといわれています。血管肉腫は悪性度が高く、破裂を起こして出血を起こすと命に関わることもある怖い病気です。
本記事では、犬の脾臓腫瘍で最もよくみられる血管肉腫について解説したいと思います。

脾臓腫瘍の原因


「血管内皮細胞」という血管を構成している細胞が癌化することで起こります。また、他の場所にできた腫瘍が転移して脾臓に腫瘍が現れることもありますが、はっきりとした原因はわかっていないものの、遺伝的要因や環境要因が大きく影響していると考えられています。

脾臓腫瘍の症状


脾臓の血管肉腫は、腫瘍のサイズが大きくなってもなかなか症状が現れません

しかし、脾臓の血管肉腫はとても脆いため、サイズが大きくなると破裂してしまうケースも少なくありません。脾臓には全身の10%以上の血液が貯蔵されているため、腫瘍が破裂してしまうとおなかの中で出血を起こし、貧血を引き起こします。また、重篤なケースでは血圧が低下することでショック状態に陥り、最悪の場合そのまま亡くなってしまうこともあります

脾臓腫瘍の診断方法


X線検査やエコー検査などを行うことで、脾臓腫瘍の存在を確認できます。ただし、これらの検査だけではその腫瘍が血管肉腫かどうかまではわからないため、手術後の腫瘤を病理検査で詳しく調べる必要があります

また、貧血の程度を確認するために、血液検査も行います。

脾臓腫瘍の治療方法


脾臓腫瘍の主な治療方法は手術による脾臓の全摘出になります。
脾臓が果たしている役割は、他の臓器でも代替できるため、脾臓を摘出してしまってもほぼ問題ありません。
脾臓の一部を切除することで対処できるケースも存在しますが、その場合、術後の出血リスクが増加すると共に、悪性腫瘍だった場合に腫瘍細胞を残してしまうと再発のリスクがあります。

予防法や飼い主が気を付けるべき点


脾臓の血管肉腫は早期治療が望まれるものの、症状が出にくいため、飼い主さんが気がつくのは難しいと言えるでしょう。そのため、定期的に健康診断を受けることで早期発見につながります。特に高齢犬に発生が多いため、シニア期に突入したら1年に1回を目安に健康診断を受けるようにしましょう。

まとめ


犬の脾臓腫瘍で発生率の高い血管肉腫は悪性度が高く、初期の段階では症状がみられないこともあります。実際に、健康診断の際に偶然脾臓腫瘍が発見されるケースも少なくありません。そのため、1年に1度、動物病院で健康診断を受けて、早期発見し早めの治療を行うよう心がけることが大切です。

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<参考>
https://avmajournals.avma.org/configurable/content/journals$002fjavma$002f247$002f4$002fjavma.247.4.393.xml?t:ac=journals%24002fjavma%24002f247%24002f4%24002fjavma.247.4.393.xml
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1920253/
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1939-1676.1991.tb00943.x?sid=nlm%3Apubmed
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/28/3/28_110/_pdf/-char/ja