肝臓腫瘍とは腫瘍が大きくなるまで特徴的な症状が現れないため、発見した時には手遅れになってしまうことが多い危険な悪性腫瘍です。
本記事では、犬猫の肝臓腫瘍について解説し、原因や症状、治療方法やその後の経過についても詳しくお伝えします。
肝臓腫瘍の原因
肝臓腫瘍には肝臓そのものから発生する「原発性」と肝臓以外の腫瘍の転移による「転移性」のものがあります。
原発性のものは、犬では肝細胞癌、猫では胆管癌が多い傾向にあります。その他の原発性肝臓腫瘍としては、血管肉腫や平滑筋肉腫、繊維肉腫なども挙げられます。
また転移性の肝臓腫瘍には、リンパ腫や肥満細胞腫、膵臓がんなどからの転移があります。
肝臓腫瘍の発生原因はよくわかっていませんが、高齢犬に多いことが知られています。
肝臓腫瘍の症状
肝細胞癌など原発性の肝臓腫瘍の場合、異常があってもなかなか症状が現れないケースが多くみられます。
症状が進行すると、元気や食欲がなくなる、痩せてくる、吐くなどの症状が出てきます。また、腫瘍が大きくなっておなかが膨らんでみえるようになることもあります。
転移性の肝臓腫瘍の場合は、もともとの腫瘍の種類によって症状もさまざまです。
診断方法
診断は、身体検査や血液検査、レントゲン検査、超音波検査やCT撮影などを総合して行います。特に、超音波検査は原発性肝臓腫瘍の発見には大変有用です。
しかし、肝臓腫瘍の確定診断には、生検や手術などで腫瘍の一部を採取し、病理検査をすることが必要です。
治療方法とその後の経過
肝細胞癌などの原発性腫瘍の場合、腫瘍が一部にとどまっていれば、腫瘍の部分だけを切除することでその後の経過が良好なこともあります。犬の肝細胞癌では、腫瘍部を完全に切除できれば4年以上生存が可能だという報告もあります。
ただし、肝臓の手術は太い血管を誤って傷つけないなど高度な技術を必要とします。また、輸血が必要になることもあり、予め輸血を含めた準備も大切です。
すでに肝臓の広範囲に癌が広がっている場合や、他の腫瘍からの転移性の場合では、手術自体が困難である場合や、手術をしてもそれほど良い結果が得られないこともあるため、対症療法を行います。
予防方法と飼い主様が気を付けるべき点
肝臓腫瘍は原因が判明されていないため、これといった予防法はありません。そのため定期的な健康診断による早期発見・早期治療が大切です。
まとめ
肝臓腫瘍の多くはゆっくりと進行し、症状が現れるまで気づかないこともあります。腫瘍が広範囲に広がっている場合や、巨大化した場合は手術は非常に難しくなります。そのため普段から定期健診を受けて、早期発見・早期治療ができるようにしましょう。
腫瘍については以下のページでも解説しています
◼️犬の脾臓腫瘍について
◼️犬や猫の乳腺腫瘍について
◼️犬の悪性黒色腫について
◼️腹腔内腫瘍について
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