変形性関節症は、犬や猫に多く見られる慢性的な関節疾患です。この病気は、関節の軟骨が徐々に破壊され、関節の変形と痛みを引き起こします。遺伝的要因が関与することが多いですが、加齢や肥満、関節への過負荷なども原因となります。

今回は、犬と猫の変形性関節症について、原因や症状、治療方法などを詳しくお伝えします。

原因


変形性関節症は、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。

まず、遺伝的な要因が知られており、例えば、ラブラドール・レトリバーやジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬種は、関節疾患にかかりやすいとされています。これらの犬種は、股関節形成不全や肘関節形成不全などの遺伝的要因により、若齢で変形性関節症を発症するリスクが高くなります。また、猫ではメインクーンやアビシニアンなどがリスクの高い猫種として知られています。

他にも、加齢や肥満、激しい運動、関節に影響するその他の病気( 関節炎や骨形成不全、パテラ脱臼など)などが考えられます。

症状


初期段階では、歩行がぎこちなくなったり、足を引きずったりすることがみられます。また、遊びや運動に対する興味が減少し、立ち上がりや階段の登り降りが難しくなることがあります。

進行すると、関節に触ると痛がったり、動きたがらないといった様子が見られます。さらに、関節が腫れたり変形がみられたりすることもあり、痛みのために使用しない筋肉が萎縮することがあります。また、攻撃的になる、鳴くことが増える、元気がなくなるなどの行動の変化も見られます。

診断方法


まず、歩行や関節の動きを観察し、関節の異常を確認します。
次に、関節を触診して痛みや腫れ、熱感の有無をチェックします。さらに、X線検査を用いて関節の変形や軟骨の損傷、骨の摩耗を確認します。

また、他の関節の病気と区別するために、関節液を一部採取して細胞を観察することもあります。

治療方法


完治させることは難しい病気であるため、症状の緩和と関節の機能を維持することを目的としています。重症度によっても異なりますが、治療の選択肢としては、内科治療と外科治療が挙げられます。

内科治療では、痛みと炎症を抑えるために鎮痛剤や抗炎症薬、関節軟骨を保護するサプリメントなどを処方するとともに、関節に負担がかからないように体重をコントロールします。

重度の変形性関節症では手術が必要な場合もありますが、これらは通常他の治療法が効果を示さなかった場合の最終手段とされています。

予防法やご家庭での注意点


定期的な健康診断を受け、関節の異常を早期に発見することが重要です。特にリスクが高い犬種や猫種は、若いうちから注意深く観察しましょう。

また、肥満は関節に余分な負担をかけるため、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。しかし、過度な運動は関節や骨に負担をかけてしまうため注意してください。

加えて、関節への負担を減らすために、ご家庭ではフローリングを滑りにくいものにする、階段部分にスロープをつけるなどの対策も効果的です。

まとめ


運動を嫌がるようになった場合、それを年齢のせいだと決めつけずに変形性関節症を疑うことも大切です。治療をしないと症状が悪化するため、早期治療が大切です。今回ご紹介した症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院で診察を受けることをお勧めします。

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