脛骨は、スネにある2本の骨のうちより太い方の骨で、膝蓋骨のすぐ下に位置し、靭帯がつながるザラザラした部分を脛骨粗面と言います。脛骨粗面剥離骨折とは、交通事故や落下事故などによって力が加わった時、脛骨粗面が剥がれる骨折のことです。特に、成長期の犬や猫は骨が未熟なため、軽い衝撃でも骨折しやすいので注意が必要です。

今回は、犬と猫の脛骨粗面剥離骨折の原因や症状などを詳しくお伝えします。

原因


犬と猫の脛骨粗面剥離骨折は、主に成長期の犬や猫に見られる骨折の一つで、特に1歳以下で発症しやすいと言われています。「成長板」という軟骨によって骨は成長していきますが、成長板は通常の骨と比較して脆いため、骨折しやすくなっています。そして脛骨粗面は、この成長板のすぐ近くにあることから、子犬や子猫では脛骨粗面剥離骨折を起こしやすいと言えます。

しかし、成長期でなくても、落下や交通事故で強い衝撃を受けた際に発生することがあります。

症状


脛骨粗面剥離骨折の主な症状は以下の通りです。

足を痛がる
痛みから後ろ足を上げたまま、3本足で歩く
足先を内側に曲げる
地面に足をつけない
患部が腫れる

診断方法


問診、触診、X線検査などを基に診断を行います。

レントゲン検査で、脛骨の粗面部分が剥がれている様子が確認できれば、脛骨粗面剥離骨折と診断します。

治療方法


脛骨粗面剥離骨折の治療は、基本的には剥離した骨片を元の位置に固定する外科手術を行います。手術は全身麻酔下で行い、ピンとワイヤーで剥がれた骨を元の位置に固定します。

また、術後も数ヶ月は定期的に通院していただき、骨がしっかりくっついたらピンやワイヤーを抜く手術を行います。

予防法やご家庭での注意点


脛骨粗面剥離骨折は、以下の点に注意することで予防ができます。

高いところからの飛び降りや落下を禁止する
ソファーやベッド、階段など、高いところには柵やスロープを設置し、飛び降りや落下を防ぐ対策をしましょう。

激しい運動を控える
成長期の犬や猫は、骨や関節がまだ十分に発達していないため、激しい運動はなるべく控えましょう。

リードをつけて散歩をする
車通りが多い場所や他の動物がいる場所では、必ずリードをつけて散歩をするようにしましょう。

また、定期的に動物病院を受診し、骨や関節の状態をチェックしてもらうことも大切です。

まとめ


脛骨粗面剥離骨折は、適切な治療と予防管理を行うことで、犬や猫の健康と活動性を守ることが可能です。ペットの異常な行動に気づいた場合は、迅速に獣医師に相談することが、重要な症状の早期発見と治療につながります。

整形疾患については以下のページでも解説しています
◼️犬と猫の橈尺骨骨折について
◼️犬の膝蓋骨脱臼について
◼️犬の大腿骨頭骨折について

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